そして、ごさくが怖くて怖くて気を失いかけていた頃、テングはある大きな鳥居の上で、うちわをサッとひるがえし、風をとめて、降りはじめました。
「ここはな、長浜の八幡宮だ。ちょうど祭のさいちゅうだ。」
たしかに、八幡宮の前には山車が何台も並んでおり、かねや太鼓や笛のはやしの音がにぎやかになりひびいています。
「ごさく、お前はここで祭りを見ておれ。わしは、ごちそうを持ってくるからな。」
赤鼻テングはそう言い、うちわで風をおこすと、ごさくを神社の屋根の上に残し、どこかへ飛んでいってしまいました。