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その時代、死んだ人には一文銭を六枚にぎらせて墓に埋めていました。
しかし、母親の手にその銭はありませんでした。
「子どものために、幽霊になって菓子を買いに来てたんやな・・・。」
けれど、生まれたばかりの赤んぼうには、菓子や飴を食べることができなかったのでしょう。「くわん、くわん」と不思議な音をたてた鐘の音は、親の、子を思う一念がのりうつったものだったにちがいありません。
かわいそうに、その子どもは栄養が足らなくて、間もなく死んでしまいました。
それからは、身ごもった女の人がそのまま葬られることはなくなったということです。 |
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