伝平 ん?なんじゃ、なんじゃ。また誰か来るぞ。
〈また誰かが村の方から走ってくる。松の木の下まで来て〉
男3 さっきの使いがわからんか。お前のお母が死んだて言うてるやろ。早う帰ってこんか。この親不孝者めが。
伝平 ふーん。なるほど、わかったぞ。何かがだましに来てるんやな。へへん、だまされるもんか。
〈虫の声……〉
伝平 これはもしかすると、みんながたいくつしのぎにやったいたずらかもしれんぞー。だまされてたまるかー。
わしのお母がそんなに簡単に死ぬかー。いよいよ真夜中や。ここが正念場やぞー。