今は昔、弘川では毎年お盆になると、村の若衆たちが肝だめしをするならわしになっておりました。
 ある年は天満宮の拝殿で一夜をあかすとか、またある年は村の竹やぶの中で一夜をすごすとか、どれを考えても一人ではなかなかやりとげることの難しいことばかりでありましたが、どうにか勇気のある若い衆がいて、その年々の肝だめしはいちおうとりおこなうことができたのでした。
 ある年のこと……