祖母は美しい人だった。凜とした居ずまい、たたずまいは心に刻みつけられている。万事派手好みで上等でなければ気がすまなかったのに芝居は三階の大向う、闇の奥から「音羽屋ッ!」通さえも振り向く実にいい声だった。―霞町物語―